夕方をすぎて雨がふる。ふった。ふりつづいている。

何かしらの痛みを求めているとしか思えない。
今さらむかしをほじくり返して土にかえったかを確かめているなんて。
かえるはずがない。ずっと記憶から抜け落ちてはあわてて拾って大切に仕舞ってきた。
好きだったうたを口ずさむ。土曜日の神さま。最近思い出すことがふえた。
バイオイルで傷が消えたと姉はいった。ほんとうだよ。ほらここ、と指差した先には
ほんとうに消えかけてうっすらとした傷跡になっていた。
わたしも消えたならもう一度はじめから なんて都合のいい夢ばかりみている。
終わりのない文章が好きだ。
降り続いた雨は弱くなりつつある。もうすぐ止むだろう。
何かしらの痛みを求めてわたしはまた、まだ文章を書いている。